2026年07月21日

## 第二話 「実は、転職は考えていませんでした。」



四国のとあるファミリーレストランで、彼と向かい合って座っていました。

私は、この日が初対面です。

最初は世間話から始まりました。

仕事のこと。

家族のこと。

将来のこと。

話を聞いているうちに、私は一つの違和感を覚えました。

「この人は、本気で転職したいわけではない。」

そこで私は率直に聞いてみました。

「実は、まだ転職する気はないんじゃないですか?」

すると彼は、少し笑いながら答えました。

「はい、実はそうなんです。」

「今の会社に大きな不満はありません。」

「社長にもお世話になっていますし、一緒に働く人たちも好きなんです。」

やはり、私の感じた通りでした。

では、なぜ私に会いに来たのか。

彼は少し考えてから、本音を話してくれました。

「実は今の会社は、大工をしている父の知り合いの工務店なんです。」

「父に紹介してもらって入社しました。」

だから簡単には辞められない。

社長にも恩がありますし、父にも迷惑はかけたくありません。

そんな思いが、彼の言葉の端々から伝わってきました。

私は、転職を勧めることはしませんでした。

「今は、その会社で頑張ってください。」

「また何かあったら、その時に一緒に考えましょう。」

そう伝えて、その日は別れました。

それから数年。

一本の電話が鳴りました。

画面には、あの日ファミリーレストランでお会いした彼の名前が表示されていました。

「上原さん、ご無沙汰しています。」

「実は、転職のことで相談があります。」

あの日は、転職を考えていなかった彼。

数年の時を経て、自ら私に連絡をくれたのです。

**(第三話へ続く)**


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posted by ライズエグゼクティブ at 22:00| Comment(0) | マスコミ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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